ソムリエとしてのキャリアを追求する際、資格取得は非常に重要なステップです。日本国内でソムリエ資格を取得するための主な選択肢は、「日本ソムリエ協会(JSA)」と「全日本ソムリエ連盟(ANSA)」の二つがあります。
フランスやイタリアではソムリエは国家資格ですが、日本では、どちらも民間団体の認定資格となっています。そして、それぞれに異なる特徴と利点があります。
日本ソムリエ協会(JSA)は、1969年に発足した飲料販売促進研究会(B.M.R.G.)が前身で1976年に現在の名称に改称しました。設立の目的は、わが国のワイン文化の普及や知識・サービスの向上などです。
もちろん、ソムリエの育成や技術の向上を目指しています。さらに日本ソムリエ協会は国際ソムリエ協会とも連携しながら海外交流に関する事業を展開しています。
一方、全日本ソムリエ連盟(ANSA)は、ワインのプロフェッショナルであるワインコーディネーターやソムリエの育成を目的に1997年に設立されました。
独自のカリキュラムを導入していることが特徴で、実務経験や実践経験というよりも、独自講習などを通じてソムリエとしての知識や技術を伝えています。ワイン文化の普及とソムリエの社会的地位向上を目指して活動しています。
この記事では、これら二つの資格の違いを詳しく比較し、どちらの資格があなたのキャリアに最適かを見極めるための情報を提供します。
日本ソムリエ協会(JSA)について
日本ソムリエ協会(JSA)は、1969年に設立され、日本で最も権威のあるソムリエ資格を提供しています。JSAの資格は国内外で高く評価されており、取得することでワイン業界でのキャリアを大きく広げることができます。
JSAの資格には、「認定ソムリエ」や「認定ワインエキスパート」などがあり、それぞれ異なる試験内容と要件があります。特に認定ソムリエ資格は、ワインの知識だけでなく、サービスやテイスティングのスキルも求められます。
試験内容は筆記試験と実技試験の両方が含まれており、ワインの生産地、品種、製造プロセスについての知識が求められます。さらに、テイスティング試験では、ワインの特徴を正確に評価し、適切なペアリングを提案する能力が必要です。
JSAの資格を取得することで、レストラン、ホテル、ワインショップなど、さまざまな職場でソムリエとしてのキャリアを築くことができます。また、JSAの資格は国内外で認知されているため、海外での就職にも有利です。

次は、全日本ソムリエ連盟(ANSA)の特徴について詳しく見ていきましょう。
全日本ソムリエ連盟(ANSA)について
全日本ソムリエ連盟(ANSA)は、1997年に設立され、日本国内のワイン文化の普及とソムリエの社会的地位向上を目指しています。ANSAの資格もそれなりに高く評価されており、ソムリエとしてのキャリアを築くための大切なステップとなります。
ANSAの資格には、「ワインコーディネーター/ソムリエ」と「ワインナビゲーター」があり、それぞれ異なる試験内容と要件があります。特にワインコーディネーター/ソムリエの資格は、ワインの知識に加えて、料理とのペアリングやサービスのスキルが重視されます。
試験内容は筆記試験と実技試験の両方が含まれており、ワインの歴史、製造プロセス、産地に関する知識が問われます。また、テイスティング試験では、ワインの味わいを正確に評価し、顧客に対して適切なアドバイスを行う能力が求められます。
ANSAの資格を取得することで、レストランやホテル、ワインショップなど、さまざまな職場でソムリエとしてのキャリアを築くことができます。さらに、ANSAはワイン文化の普及を重視しているため、ワインイベントやセミナーなどを通じて、ソムリエとしてのネットワークを広げる機会も豊富です。

次は、日本ソムリエ協会(JSA)と全日本ソムリエ連盟(ANSA)の資格取得までのプロセスを比較していきます。

ソムリエ資格取得までのプロセス
日本ソムリエ協会(JSA)と全日本ソムリエ連盟(ANSA)の資格取得プロセスには、それぞれ独自の特徴があります。どちらの資格を選ぶかを決める際には、試験準備、受験方法、合格率などを比較することが重要です。
JSA | ANSA | |
試験準備 | 指定の教材や講座を受講することが推奨されます。 | オンラインでの学習資料も充実しており、自分のペースで学習を進めることができます。 |
受験方法 | 筆記試験と実技試験の両方があり、全国各地で開催されます。試験日は年間に数回設定されており、事前に申し込みが必要です。 | 筆記試験と実技試験の両方が含まれますが、試験日は固定されておらず、受験者の都合に合わせて調整が可能です。 |
合格率 |
試験は年度により合格率は違っていて、25~40%です。ちなみに2023年度は17.7%でした。 |
調べた限り、合格率に関しての記載はありませんでした。 |

次は、JSAとANSAの資格がどのようにキャリアに影響するかを見ていきます。
それぞれの資格におけるキャリアパスと認知度
日本ソムリエ協会(JSA)と全日本ソムリエ連盟(ANSA)の資格は、それぞれ異なるキャリアパスと認知度を持っています。どちらの資格が自身のキャリアに最適かを判断するためには、資格取得後の影響を理解することが重要です。
JSAのキャリアパス:JSAの資格は国内外で広く認知されており、多くのレストラン、ホテル、ワインショップで高く評価されています。特に一流レストランや高級ホテルでは、JSAの認定ソムリエ資格を持つことが大きなアドバンテージとなります。さらに、JSAは定期的にセミナーや研修を開催しており、継続的な学習とネットワーキングの機会を提供しています。
ANSAのキャリアパス:ANSAの資格は、国内のワイン業界で認知されていて、相応の評価を受けています。ANSAの資格取得者は、ワインイベントや教育プログラムでの講師として活躍されている方もおられますし、ワイン文化の普及に貢献しています。また、ANSAは実務経験を重視しているため、現場での経験を積むことが求められます。
認知度:JSAの資格は国際的に認知されており、海外での就職にも有利です。一方、ANSAの資格は国内での認知はありますので、日本のワイン業界でのキャリアをスタートさせるには価値があります。

次は、JSAとANSAの資格取得にかかるコストと時間を比較していきます。
ソムリエ資格取得までのコストと時間の比較
資格取得には、費用と時間がかかります。日本ソムリエ協会(JSA)と全日本ソムリエ連盟(ANSA)の資格取得にかかるコストと時間を比較してみましょう。
JSAのコスト:JSAの資格取得には、受験料、教材費、講座受講料などが必要です。特に認定ソムリエ資格の場合、実技試験の準備に費用がかかることが多いです。受験料は数万円から数十万円まで幅がありますが、総額で見てもそれなりの投資が必要です。
ANSAのコスト:ANSAの資格取得も同様に、受験料、教材費、講座受講料がかかります。ANSAの資格は実務経験を重視するため、資格取得後も継続的な学習や実践が必要です。受験料はJSAと同程度ですが、ANSAはオンライン学習が充実しているため、教材費を抑えることができる場合があります。
JSAの時間:JSAの資格取得には、試験準備に数ヶ月から1年以上かかることが一般的です。特に認定ソムリエ資格の場合、筆記試験と実技試験の両方の準備が必要ですので、時間がかかります。
ANSAの時間:ANSAの資格取得も、試験準備に数ヶ月から1年以上かかることが一般的です。ANSAは実務経験を重視しているため、資格取得後も継続的な学習と実践が必要です。


それでは、日本ソムリエ協会(JSA)と全日本ソムリエ連盟(ANSA)の資格の取得はどちらがどのような人に向いているかを見ていきましょう。
どちらの資格をどのような人が取得すべきか
日本ソムリエ協会(JSA)と全日本ソムリエ連盟(ANSA)の資格取得を検討する際、それぞれの特徴と利点を理解することが重要です。どちらの資格が最適かは、個々のキャリア目標や学習スタイルに大きく依存します。
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- JSAを選ぶべき人:JSAの資格は、国際的な認知度が高く、海外でのキャリアを目指す人にとって有利です。また、一流レストランや高級ホテルでの就職を目指す場合、JSAの認定ソムリエ資格は大きなアドバンテージとなります。継続的な学習とネットワーキングの機会も豊富で、長期的なキャリアアップを目指す人に適しています。
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- ANSAを選ぶべき人:ANSAの資格は、特に国内のワイン業界で評価を得ており、ワインイベントや教育プログラムでの活動を通じて、ワイン文化の普及に貢献したい人に向いています。また、実務経験を重視するため、現場でのスキルを磨きたい人や、実践的な知識を身につけたい人に適しています。
まとめ
ソムリエとしてのキャリアを築くために、日本ソムリエ協会(JSA)と全日本ソムリエ連盟(ANSA)のどちらの資格を取得するかは重要な意思決定と言えます。なぜなら、それぞれの資格には独自の特徴と利点があるからです。
どちらの資格を取得してもソムリエとしてのキャリアを形成することができます。したがってどちらの資格を取得した方が有利かという視点でなく、自身のキャリア目標と学習スタイルに合わせて最適な資格を選ぶことが成功への鍵となるでしょう。
それでは、日本ソムリエ協会(JSA)の方から説明します。