私が音声コンテンツを本格的に作り始めたのは、ブログがきっかけ
ではなかった。
最初に挑戦したのは、Kindleで出版したライトノベルのラジオ
ドラマ化である。
そのライトノベルをClaudeと壁打ちしながら台本として作成し、
ElevenLabsで音声化して、Adobe Auditionで編集する。
この方法なら、セリフや感情表現を細かくコントロールできる。
しかし、一つの作品を完成させるまでには、それなりの時間が
必要だった。
そんな中で出会ったのが、NotebookLMの音声解説機能だった。
ブログ記事を読み込ませるだけで、二人のAIホストが自然な
掛け合いで内容を解説してくれる。
最初に聞いたときの驚きは今でも忘れられない。
構成は分かりやすく、会話のテンポも心地よい。
適度なリアクションも入り、単なる読み上げではなく、
一つのラジオ番組として成立していた。
「これなら、ブログ記事の内容を音声でも届けられる。」
そう思い、私はブログ記事の音声解説を作り始めた。
公開本数が増えるにつれ、NotebookLMの完成度の高さを
実感する一方で、
一つだけ気になることも見えてきた。
漢字の読み間違いである。
最初の頃は気にならない程度だった。しかし記事の内容が充実し、
読者へ正確に伝えたい情報が増えるにつれて、
その違和感は少しずつ大きくなっていった。
だが、多少の読み間違いがあっても内容そのものは伝わる。
実際、NotebookLMが作る音声解説は、構成力や会話のテンポ、
感情表現まで含めてきわめて完成度が高い。
今でも非常に優秀なAIだと思っている。
だからこそ、「この品質をもう一段高められないだろうか」と
考えるようになった。
そこまで品質にこだわる理由…
それは、音声解説を単なる付加価値ではなく、「スキル・リブート40s」
というブランド(https://sat2022.com/1424/skill-reboot-40s/)を
届ける大切な入り口と考えていたからである。
まずは、その理由から話をしたい。
なぜブログ記事を音声解説にしたのか
ブログには、ブログならではの良さがある。
じっくり読み返すことができ、図表や画像も使いながら、
一つのテーマを体系的に伝えられる。
知識を深く理解してもらうには、とても優れた媒体である。
しかし、その一方で気になっていたこともあった。
仕事や家庭で忙しい毎日の中では、「あとで読もう」と思ったまま、
そのまま読まずに終わってしまう記事も少なくない。
私自身、気になる記事をブックマークしたまま、結局読めなかった
経験が何度もある。
「読む時間がなくても、内容だけでも伝えられる方法はないだろうか。」
そう考えたことが、音声解説を始めるきっかけだった。
音声で記事の概要を知ることができれば、興味を持った人はブログで
詳しく読める。
逆に、ブログを読んだ後に音声で復習するという使い方もできる。
つまり、ブログと音声は競合するものではない。
それぞれが違う役割を持ちながら、読者の理解を深める関係になれると
考えたのである。
この発想の背景には、ラジオドラマ制作の経験があった。
文章が音声になることで、文字だけでは伝わりにくい空気感や
感情まで届けられる。
その可能性を知っていたからこそ、「ブログにも応用できるのでは
ないか」と考えた。
そして、そのタイミングでNotebookLMと出会った。
NotebookLMの音声解説は想像以上だった
音声解説を作ろうと考えたとき、最初に使っていたのはNotebookLMではない。
ラジオドラマで採用していた、Claude+ElevenLabsという組み合わせだった。
品質は高かったが、一つの作品を完成させるまでには時間がかかる。
その点、NotebookLMはまったく違っていた。
ブログ記事を読み込ませるだけで、AIが内容を理解し、二人のホストによる
自然な掛け合いで解説を作ってくれる。
正直、最初はそこまで期待していなかった。
しかし、実際に聞いてみると、その印象は大きく変わった。
会話のテンポがいい。話題の切り替えも自然で、重要なポイントでは感情を
込めたリアクションも入る。
単なる文章の読み上げではなく、本当にラジオ番組を聞いているような
感覚だった。
「これなら、そのまま公開できる。」
確信した私は、ブログ記事の音声解説を次々と制作し、公開して
いった。
気が付けば、公開本数は26本を超えていた。
NotebookLMは、ブログ記事を音声コンテンツへ変換するという
点では、私の期待を十分に上回るAIだったと言える。
現在でも、その評価は変わっていない。
だからこそ、公開を続ける中で見えてきた「品質の壁」は、
見過ごすことのできない課題になったのである。
品質を左右したのは、ほんの少しの違和感だった
NotebookLMの音声解説は、期待以上の完成度だった。
だからこそ、最初のうちは多少の読み間違いは気にならなかった。
実際、公開した初期の音声解説では、多少不自然な読み方があっても、
「AIだから仕方がない」と受け止めていた。
ブログ記事の概要を伝えるという役割は十分に果たしていたから
である。
しかし、音声解説を公開し続けるうちに、その考えは少しずつ
変わっていった。
ブログの記事が充実するにつれて、扱うテーマも専門的になり、
読者へ正確に伝えたい内容が増えていったからだ。
そんな中で気になり始めたのが、漢字の読み間違いだった。
例えば、「赤裸々」を「あからら」と読んでしまう。
「骨子」は「ほねし」になる。
「3日」は文脈によっては「みっか」と読むべき場面でも、
「さんにち」と読み上げてしまうことがあった。
一つひとつは小さな間違いである。
しかし、音声を聞いている読者にとっては、その一瞬の違和感が
思った以上に大きい。
話の内容に集中していた意識が、
「今、何と言ったのだろう。」
という疑問へ切り替わってしまうからである。
音声は、一度聞き流してしまうと簡単には戻れない。
だからこそ、一瞬の違和感でも読者の集中を途切れさせてしまう。
私が改善したかったのは、漢字の読み間違いそのものではない。
読者が最後まで内容に集中できる音声体験である。
NotebookLMの構成力や会話のテンポを高く評価していたからこそ、
この一点だけが惜しかった。
「この完成度を、もう一段引き上げる方法はないだろうか。」
そうして、新しい方法を模索し始めた。
品質を上げるために、AIを組み合わせるという発想へ
品質を改善しようと思っても、最初から答えが見えていたわけ
ではない。
まず考えたのは、NotebookLMだけで何とかできないかという
ことだった。
プロンプトを工夫したり、表現を調整したりと、いくつか試して
みた。
しかし、構成や会話の流れは素晴らしいものの、漢字の読み方や
細かな表現まで思いどおりにコントロールすることは難しかった。
そこで発想を変えた。
「特定のAIですべてを解決しようとするから限界があるのでは
ないか。」
そんな仮説が浮かんだ。
もともとラジオドラマを制作していた頃から、私は特定のAIだけで
作品を作っていたわけではない。
Claudeで台本を作り、ElevenLabsで音声化する。
それぞれのAIが得意な役割を担うことで、一つの作品を完成させて
いた。
それなら、この考え方をブログ記事の音声解説にも応用できるの
ではないかと思った。
まず、NotebookLMでブログ記事の音声解説を生成する。
次に、その音声をNotebookLM自身で文字起こしする。
ここで思わぬ発見があった。
NotebookLMは、読み間違えた漢字まで、そのまま文字として
書き起こしてくれたのである。
最初は「これでは修正しにくいのではないか」と思った。
しかし実際には逆だった。
読み間違えた箇所がそのまま文字として残るため、修正すべき
場所をすぐに見つけられる。
台本の見直しは想像以上にスムーズだった。
ここで、読者の中にはこんな疑問を持つ人もいるだろう。
「修正した原稿を、もう一度NotebookLMに読ませればいいのでは
ないか。」
私も最初はそう考えた。
しかし、私が試した限りでは、NotebookLMの音声解説機能は、
そのような使い方を想定したものではない。
NotebookLMは、提供したソースをもとにAIが内容を理解し、
二人のホストによる自然な会話形式で要約や解説を自動生成する
仕組みである。
そのため、こちらが用意した台本を一言一句そのまま読み上げ
させることはできない。
会話の流れや発言内容は、生成するたびにAIが新しく組み立てる
ため、修正した台本を使って同じ内容を再現することは難しいので
ある。
そこで私は、NotebookLMには「構成を作る役割」を任せること
にした。
文字起こしした原稿は、まず読み間違えた漢字や不自然な表現を修正する。
しかし、それだけでは終わらない。
修正した原稿をそのままElevenLabsで音声化することも試したが、
どうしても物足りなさが残った。
NotebookLMの文字起こしは、音声を忠実に文章へ変換してくれる。
だからこそ、読み間違いは直せても、話し言葉として最適な台本に
なっているとは限らない。
説明の順番は自然か。
同じ表現が続いていないか。
聞き手が最後までストレスなく聞ける流れになっているか。
こうした点は、人の目で確認しながら整える必要があった。
そこで活躍したのがClaudeである。
私はClaudeと壁打ちをしながら、文章を整理し、話し言葉として
より自然に聞こえるよう台本をブラッシュアップしていった。
Claudeは誤字脱字を修正するだけではない。
聞きやすい流れになっているか。
もっと伝わる表現はないか。
そんなことを一緒に考えてくれる編集者のような存在だった。
そして完成した台本をElevenLabsで音声化し、最後にAdobe Auditionで
音量や間を調整して仕上げる。
作業工程は確かに増えた。
しかし、その分だけ品質は確実に向上した。
この試行錯誤を通して、私は一つの結論にたどり着いた。
NotebookLMは構成作家。
Claudeは編集者。
ElevenLabsはナレーター。
Adobe Auditionは音響エンジニア。
それぞれに得意な役割がある。
どれか一つが万能なのではない。
それぞれの強みを組み合わせることで、初めて自分が求める品質へ
近づける。
これが、26本の音声解説を作り続ける中で得た、一番大きな学び
だった。

まとめ
今回紹介した方法が、唯一の正解だとは思っていない。
生成AIは今も進化を続けている。数か月後には、もっと優れた
音声生成AIや、新しいワークフローが登場しているかもしれない。
だからこそ、大切なのは「どのAIが一番優秀なのか」を探し続ける
ことではない。
自分が何を実現したいのかを考え、その目的に合わせてAIを組み
合わせることである。
今回の音声解説制作でも、それぞれのAIには明確な役割があった。
NotebookLMは構成を考え、Claudeは台本を磨き、ElevenLabsは
音声として届ける。
そしてAdobe Auditionが最後の品質を整える。
特定のAIに万能を求めるのではなく、それぞれの強みを生かして
一つの成果物を作り上げる。
その考え方は、音声制作だけでなく、ブログ執筆や資料作成、
SNSでの情報発信など、さまざまな場面で応用できるはずだ。
私自身、この26本の音声解説を制作する中で、「AIに仕事を任せる」という発想から、
「AIと一緒に作品を作る」という発想へ大きく変わった。
試行錯誤の連続だったが、その過程で得られた気づきは、どれも
次の改善につながっている。
だから私は、完成されたノウハウを伝えたいのではない。
実践し、失敗し、改善し、その中で見えてきたことを共有したい
のである。
※下記の記事でも当ブログ記事と同じ姿勢で試行錯誤を綴っている。
ご興味があれば、ぜひお読みいただきたい。
これからも新しいAIは次々と登場するだろう。
そのたびに試し、悩み、また新しい方法を見つけていくことに
なるはずだ。
「スキル・リブート40s」では、そうしたプロセスも含めて発信を
続けていきたい。
この記事が、生成AIを活用した音声配信に挑戦したいと考えている
人や、「自分に合ったAIの使い方」を模索している人にとって、
その第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いである。













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